２０１７年３月
地域の教師会J-CANプロジェクトのこれまでの活動を振り返って
ワークショップ開催からJ-CANプロジェクトの半年を振り返る同窓会
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ワークショップ開催から
J-CANプロジェクトの半年を振り返る同窓会 ３月１２日（日）午後７時半 司会担当／WebEX担当：マーケン先生 |
ミーティング参加者
AFTJ: 魚立、野津、テイラー MAATJ: ヴォーン、河合、マーケン、ランバーソン OATJ: マルコビッチ SEATJ: 高田、デイリー |
議題
1. １人１分ずつ個人の報告
事前にWeeblyに目を通して地域としての活動をおさらいしておき、それぞれが一人２００字前後の内省を前もって準備しておく。
2. スモールグループで２年目以降の取り組み／どうしたいか意見交換
3. 全体での意見交換
事前にWeeblyに目を通して地域としての活動をおさらいしておき、それぞれが一人２００字前後の内省を前もって準備しておく。
2. スモールグループで２年目以降の取り組み／どうしたいか意見交換
3. 全体での意見交換
このミーティングについて
「ワークショップ開催からJ-CANプロジェクトの半年を振り返る同窓会」にはJ-CANメンバー１０名が参加しました。これまでの活動を振り返っての個人の内省報告を中心にミーティングが進められました。参加できなかったメンバーも文章を準備してくれていたので、そのメンバーの内省は司会のマーケン先生が読んでくださいました。
コメント、質問なども出たため議題２番３番の項目について話し合う時間がなくなり、それらの点については５月２日のミーティングに持ち越すことになりました。
コメント、質問なども出たため議題２番３番の項目について話し合う時間がなくなり、それらの点については５月２日のミーティングに持ち越すことになりました。
下のJ-CANプロジェクトのまとめは、個々のメンバーからの内省報告の内容も入れたものになっています。
これまでの「地域の教師会J-CANプロジェクト」を振り返って
同窓会ミーティングにおける個々のメンバーからの内省とともに
J-CANとは下の５つの言葉の頭文字を取ったものです。１番目は「日本語」なので、２番目以降の「コアプラクティス（を共通言語としたアーティキュレーション）」、「（その他の）アーティキュレーション」、「アドボカシー」、「ネットワーク」の４点についてこれまでの活動を振り返りたいと思います。
J-CAN
Japanese: 日本語
Core Practices: コアプラクティス
Articulation: アーティキュレーション
Advocacy: アドボカシー
Network: ネットワーク
Japanese: 日本語
Core Practices: コアプラクティス
Articulation: アーティキュレーション
Advocacy: アドボカシー
Network: ネットワーク
コアプラクティスを共通言語としたアーティキュレーション
J-CANプロジェクトの目標の１つは教師がコアプラクティスという共通言語を学び、より円滑なアーティキュレーションを目指すというものです。このサイトのホームページにも説明がありますが、コアプラクティスとは教育現場での外国語教師の目標となる実践のことで、全米外国語教育協会(ACTFL)がこれらを作成、推進しています。（Homeページへ）
Six Core Practices
1. Use the target language as the vehicle and content of instruction.
2. Design and carry out interpersonal communication tasks for pairs, small groups, and whole class instruction.
3. Design lessons and tasks that have functional goals and objectives, to include specifying clearly the language and activities needed to support and meet the communicative objectives.
4. Teach grammar as a concept and use in context. Understand the various approaches to grammar instruction and how to select one over the other.
5. Design and carry out interactive reading and listening comprehension tasks using authentic cultural texts of various kinds with appropriate scaffolding and follow-up tasks that promote interpretation.
6. Provide appropriate feedback in speech and writing on various learning tasks.
コアプラクティスの説明へのリンク
Building Your Core: Effective Practices for Language Learners and Educators
Pete Swanson (2016 ACTFL President) and Marty Abbott (ACTFL Executive Director)
1. Use the target language as the vehicle and content of instruction.
2. Design and carry out interpersonal communication tasks for pairs, small groups, and whole class instruction.
3. Design lessons and tasks that have functional goals and objectives, to include specifying clearly the language and activities needed to support and meet the communicative objectives.
4. Teach grammar as a concept and use in context. Understand the various approaches to grammar instruction and how to select one over the other.
5. Design and carry out interactive reading and listening comprehension tasks using authentic cultural texts of various kinds with appropriate scaffolding and follow-up tasks that promote interpretation.
6. Provide appropriate feedback in speech and writing on various learning tasks.
コアプラクティスの説明へのリンク
Building Your Core: Effective Practices for Language Learners and Educators
Pete Swanson (2016 ACTFL President) and Marty Abbott (ACTFL Executive Director)
２０１６年７月に行なったJ-CANワークショップの２日目は、オハイオ州立大学のTroyan先生を講師としてお招きし、参加者はコアプラクティスとその授業活動への応用について学びました。（詳しくはWorkshopのページをご覧ください。）それ以降、コアプラクティスを取り入れたプロジェクトも始まり、メンバー達が２０１７年２月に開催された米国南東部日本語教師会(SEATJ)の学会で発表をすることができました。（詳しくはSEATJ 2017のページをご覧ください。）
２０１７年３月の個人の内省の中から、コアプラクティスに言及するものを下に抜き出しました。１と２はコアプラクティスの５番に焦点を当てた生教材共有プロジェクトについて述べたものです。３と４は、コアプラクティスの３番、特にCan-Doステートメントについて書かれています。５は同じくコアプラクティスの３番そしてコアプラクティスの１番に関連するものです。
ワークショップで学んだことからプロジェクトのテーマを見つけ、お互い刺激を受けながら協働作業を進めている。これは、学んだことを実践に結びつけるとてもよいモデルだと言えるのではないでしょうか。また参加者はより深いコアプラクティスの知識と技術の習得が必要だと感じていることが内省から伺えます。共通言語として更に広め、定着させ、より多くの日本語教師の授業活動にコアプラクティスを反映させるためにはるためには、今後もJ-CANプロジェクトの活動を続けていく必要があるでしょう。
２０１７年３月の個人の内省の中から、コアプラクティスに言及するものを下に抜き出しました。１と２はコアプラクティスの５番に焦点を当てた生教材共有プロジェクトについて述べたものです。３と４は、コアプラクティスの３番、特にCan-Doステートメントについて書かれています。５は同じくコアプラクティスの３番そしてコアプラクティスの１番に関連するものです。
- 私は、○○先生・ △△先生がリードしてくださっている、マテリアルシェアに参加させてもらっています。私は日本語イマージョンプログラムの□□のクラスを担当しているので、大学の授業とのレベルがかけ離れているのですが、「□□でのレッスンがどのように繋がっていくのか」とか「こんな事を大学でするのか。。。では、□□でどんな授業をしたら、生徒が大きくなってやくだつかな？」と自分の授業のreflectionができて、とても役に立ち、そして、刺激を受けました。
- 私が参加している生教材共有グループは、最初から参加している５人中３人が熱心に参加し、刺激を受けました。他の先生が作った教材を一つ、二つ見るだけでも、自分が考えていなかったアイデアを発見できました。まだ始めたばかりですが、SEATJを機に人数も増え、共有する教材が増えることを期待しています。皆忙しいので、できる限りの範囲で、とゆっくり続けていきたいと思いますが、このままで終わってしまわないように、学期末までにまた一つ共有する、と締め切りを決めて連絡しようと思います。長く続けて発展していけるようにがんばります。
- 最近は、もしかしたら小中高のアーティキュレーションに繋げられるのではないかとAP の生徒たち13人に自己評価させたACTFL Can-Do Statement の結果を、やっとまとめ始めたところです。この結果から何が見えて来るのかはまだ分かりませんが、カリキュラムの見直しに役立てたいと頑張っているところです。
- 個人としては、J-CANプロジェクトの活動を新しく始める余裕がなかったのですが、2014年から続けているCan-Doステートメントのプロジェクトを軌道修正しながら、細々と続けています。これから、タスクベースアプローチについてさらに学んだり、アセスメントについてなどプロジェクトを派生させていく必要があると感じています。コアプラクティスやIPAについてもさらに学びたいと思いつつ、日常の仕事に追われ、勉強ができていません。夏休みに学びたいと思っています。
- ワークショップ後、Functional Goals and Objectivesは特に意識していますが、ターゲット言語使用90％は思った以上に苦戦しています。
ワークショップで学んだことからプロジェクトのテーマを見つけ、お互い刺激を受けながら協働作業を進めている。これは、学んだことを実践に結びつけるとてもよいモデルだと言えるのではないでしょうか。また参加者はより深いコアプラクティスの知識と技術の習得が必要だと感じていることが内省から伺えます。共通言語として更に広め、定着させ、より多くの日本語教師の授業活動にコアプラクティスを反映させるためにはるためには、今後もJ-CANプロジェクトの活動を続けていく必要があるでしょう。
その他のアーティキュレーション
上のセクションでは「コアプラクティスという共通言語を通してのアーティキュレーション」についてまとめたので、ここではJ-CANプロジェクトにおけるコアプラクティス以外のアーティキュレーションの側面について振り返りたいと思います。２０１１年に始まったアメリカでの日本語教育アーティキュレーション・プロジェクト(J-GAP USA)は２０１５年に終了。地域の教師会J-CANプロジェクトはその取り組みに続くものでした。
フォローアップ定期ミーティングのページにはそれぞれの教師会の進捗情報の報告がまとめられています。アメリカ中部大西洋岸日本語教師会(MAATJ)ののあるバージニア州・メリーランド州はJ-GAP USAのモデル地区として２０１１年からアーティキュレーション活動が始まっており、基盤ができていたため、特に活発にプロジェクトが行われていたようです。例えば２０１６年１０月のバージニア州外国語教師会(FLAVA)の学会では約４０名の日本語教師が参加、J-CANアーティキュレーションのセッションでは新しいプロジェクト・グループが９つもできたそうです。（詳しくはMeetingsのページご覧ください。）
２０１７年３月の個人の内省の中から、アーティキュレーションに焦点を当てた文章を紹介します。下の１はMAATJからの参加者が書いたものです。同じく２もMAATJメンバーによるものですが、J-CANプロジェクトから積極的にアーティキュレーション活動に参加しているメンバーによるものです。３はJ-CANワークショップへの参加者が２名と限られていたオハイオ日本語教師会 (OATJ)メンバー１人の内省からの引用、そして４は米国南東部日本語教師会(SEATJ)メンバーが書いたものです。
これらの参加者による内省の引用から見えてくるのは、アーティキュレーションというものは一朝一夕にして取り組みの体制を整えたり、その成果を得られたりするものではないということです。しかし、J-CANプロジェクトを進める中、お互いにサポートし合いリーダーシップを共有し、協働作業や学びに楽しさを見出すことが取り組み継続への原動力に繋がっていることが伺えます。
フォローアップ定期ミーティングのページにはそれぞれの教師会の進捗情報の報告がまとめられています。アメリカ中部大西洋岸日本語教師会(MAATJ)ののあるバージニア州・メリーランド州はJ-GAP USAのモデル地区として２０１１年からアーティキュレーション活動が始まっており、基盤ができていたため、特に活発にプロジェクトが行われていたようです。例えば２０１６年１０月のバージニア州外国語教師会(FLAVA)の学会では約４０名の日本語教師が参加、J-CANアーティキュレーションのセッションでは新しいプロジェクト・グループが９つもできたそうです。（詳しくはMeetingsのページご覧ください。）
２０１７年３月の個人の内省の中から、アーティキュレーションに焦点を当てた文章を紹介します。下の１はMAATJからの参加者が書いたものです。同じく２もMAATJメンバーによるものですが、J-CANプロジェクトから積極的にアーティキュレーション活動に参加しているメンバーによるものです。３はJ-CANワークショップへの参加者が２名と限られていたオハイオ日本語教師会 (OATJ)メンバー１人の内省からの引用、そして４は米国南東部日本語教師会(SEATJ)メンバーが書いたものです。
- ５年目になる地元中高大縦のアーティキュレーションで対話ができる関係がようやくできつつある。ワークショップ後の声掛けの成果もあってか、教材作りやアドボカシーで率先して自らの役割を探し動いていく参加者が増えてきた。ここまでくるのに何度も衝突があり、紆余曲折の長い道のりだった。まだまだ先は長いが、立場上自分がリードしなければという責任感が減少し、助け合い成長していく関係ができつつあるのが嬉しい。それは、情報交換だけで終わらない突っ込んだ対話をゆっくりとではあるが常に目指してきたからだと思う。そのような学びあう関係を地域を超えても築いていきたい。
- FLAVAで結成されたグループの進行・発展の後押し役をしたりすることで、J-CANの活動への参加が自発的なものに変わっていったと感じる。それは、やはり協働の楽しさが分かり、面白くなったからだと思う。また、J-CANのプロジェクトを通じて、内省の機会が増え、自分自信の授業内容へ反映できたことも多い。ただ講義を聞くのと違って、プロジェクトは自分が考え作り出していくものなので、その分、理解も深まり、責任を持って実戦していかねばという気になるからだと思う。
- まさにJ-CAN活動は私にとって、empowermentの活動でした。先生方のご厚意により地域教師会を超えてMAATJのアーティキュレーションプロジェクトに参加させていただいたことからも、自分の大学だけからは得られないよい刺激を受け、色々と学ばせていただきました。
- 今、２０１５年１２月に書いた内省を見たら、「SEATJ内でのアーティキュレーションは無理だと思うこともあった」と書いてありました。不安だったあの秋から１年ちょっと、先月のSEATJ年次大会でのことも振り返ると、少しずつですが進歩が見られ、うれしく思います。NC内でも５月に當作先生を招いての勉強会が計画され、アーティキュレーションを意識している活動が増えてきています。
これらの参加者による内省の引用から見えてくるのは、アーティキュレーションというものは一朝一夕にして取り組みの体制を整えたり、その成果を得られたりするものではないということです。しかし、J-CANプロジェクトを進める中、お互いにサポートし合いリーダーシップを共有し、協働作業や学びに楽しさを見出すことが取り組み継続への原動力に繋がっていることが伺えます。
アドボカシー
近年アメリカの外国語教育界においてアドボカシーの重要性が高まっており、J-CANプロジェクトも日本語教育のアドボカシーを推進するという目的も持っています。日本語教育のアドボカシーについては、カリフォルニア大学サンディエゴ校の當作先生が書かれた“Japanese Language Education in the Global Era: New Perspectives and Advocacy”をご覧ください。その他、日本語教育、外国語教育のためのアドボカシー関連のページへのリンクを下にコピーします。
Tohsaku, Y.-H. (2012). Japanese Language Education in the Global Era: New Perspectives and Advocacy.
Proceedings of National Symposium on Japanese Language Education (NSJLE) 2012 Conference.
http://jpf-sydney.org/nsjleproceedings/download/03.tohsaku.pdf
Proceedings of National Symposium on Japanese Language Education (NSJLE) 2012 Conference.
http://jpf-sydney.org/nsjleproceedings/download/03.tohsaku.pdf
国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター アドボカシーのページ
http://www.jflalc.org/useful-resources.html
全米日本語教育学会(AATJ) アドボカシーのページ
http://www.aatj.org/advocacy
全米外国語教育協会(ACTFL) アドボカシーのページ
https://www.actfl.org/advocacy
http://www.jflalc.org/useful-resources.html
全米日本語教育学会(AATJ) アドボカシーのページ
http://www.aatj.org/advocacy
全米外国語教育協会(ACTFL) アドボカシーのページ
https://www.actfl.org/advocacy
まず、フォローアップ定期ミーティングの各教師会からの報告を振り返ってみたいと思います。（詳しくはMeetingsのページをご覧ください。）
バージニア州フェアファックス郡のJ-LEARNというグループは日本語イマージョンプログラムのサポートをしているのですが、日本語教育のアドボカシーにも積極的です。その活動にアメリカ中部大西洋岸日本語教師会(MAATJ)も参加しています。その他には、大使館や企業、その他の組織と連携を強めたり、アウトリーチに努めるなど、直接的ではなくとも日本語教育振興のためにアドボカシーにつながる取り組みを各教師会が行なっています。例えばMAATJ地区では２０１６年１１月ワシントンDCにあるジョージワシントン大学で開催されたJ-LIVE TALK(日本語スピーチコンテスト)には多くの先生方が出向き、出席する企業や大使館の方との交流を図りました。米国南東部日本語教師会(SEATJ)のメンフィス地域ではメンバーが日本文化推進活動を行なっている組織との連携を強め、アウトリーチ活動に積極的に進めているようです。オハイオ日本語教師会(OATJ)では、地元の日系企業のキャリアフェアーとスピーチコンテストを同時開催し民間企業との繋がりを強化しています。
このような取り組みが進む中、２０１７年１月１７日のフォローアップ定期ミーティングではバージニア州バージニアビーチの日本語のプログラムが縮小、カットの方向に向かうため、日本語教師に日本語以外の免許を取るようにという手紙が教育委員会から届いたという報告がありました。また２月にはメリーランド州でコンピューター・コーディングのクラスの単位を外国語のクラスの単位として認めるという法案の公聴会があるというという連絡も受けました。フロリダ州でも同様の法案が出されましたが、可決されず成立はしませんでした。しかし、再び法案を通そうとする動きがあるそうです。
２０１７年３月の個人の内省には、直接アドボカシー、アドボカシーに関することに言及するものは限られていました。１は参加者の自律性について、アドボカシーの活動に自ら参加するMAATJメンバーもいると述べています。２はSEATJのアウトリーチ活動に関するものです。そして、内省の中にはアドボカシーの重要性を感じずにはいられない３のような文章もありました。厳しい状況の中でJ-CANプロジェクトが支えとなっているようです。
国際化の進む２１世紀社会において外国語教育は非常に大切なものです。STEM教育(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)への支援が大きくなる中で、下のACTFLの見解表明文にあるようにコンピューター教育そして外国語教育もどちらも重要であるというようなことを広く一般に理解してもらうことが大切かもしれません。J-CANプロジェクトにおいて、今後更にアドボカシーに焦点を当てた活動の広がりが期待されます。
バージニア州フェアファックス郡のJ-LEARNというグループは日本語イマージョンプログラムのサポートをしているのですが、日本語教育のアドボカシーにも積極的です。その活動にアメリカ中部大西洋岸日本語教師会(MAATJ)も参加しています。その他には、大使館や企業、その他の組織と連携を強めたり、アウトリーチに努めるなど、直接的ではなくとも日本語教育振興のためにアドボカシーにつながる取り組みを各教師会が行なっています。例えばMAATJ地区では２０１６年１１月ワシントンDCにあるジョージワシントン大学で開催されたJ-LIVE TALK(日本語スピーチコンテスト)には多くの先生方が出向き、出席する企業や大使館の方との交流を図りました。米国南東部日本語教師会(SEATJ)のメンフィス地域ではメンバーが日本文化推進活動を行なっている組織との連携を強め、アウトリーチ活動に積極的に進めているようです。オハイオ日本語教師会(OATJ)では、地元の日系企業のキャリアフェアーとスピーチコンテストを同時開催し民間企業との繋がりを強化しています。
このような取り組みが進む中、２０１７年１月１７日のフォローアップ定期ミーティングではバージニア州バージニアビーチの日本語のプログラムが縮小、カットの方向に向かうため、日本語教師に日本語以外の免許を取るようにという手紙が教育委員会から届いたという報告がありました。また２月にはメリーランド州でコンピューター・コーディングのクラスの単位を外国語のクラスの単位として認めるという法案の公聴会があるというという連絡も受けました。フロリダ州でも同様の法案が出されましたが、可決されず成立はしませんでした。しかし、再び法案を通そうとする動きがあるそうです。
２０１７年３月の個人の内省には、直接アドボカシー、アドボカシーに関することに言及するものは限られていました。１は参加者の自律性について、アドボカシーの活動に自ら参加するMAATJメンバーもいると述べています。２はSEATJのアウトリーチ活動に関するものです。そして、内省の中にはアドボカシーの重要性を感じずにはいられない３のような文章もありました。厳しい状況の中でJ-CANプロジェクトが支えとなっているようです。
- ワークショップ後の声掛けの成果もあってか、教材作りやアドボカシーで率先して自らの役割を探し動いていく参加者が増えてきた。ここまでくるのに何度も衝突があり、紆余曲折の長い道のりだった。
- また今までやってきたフードイベントなどのアウトリーチ活動を中心に今後も日本語教育法のワークショップなどを引き続き計画し、今回学んだことを地元の若い世代にも伝え、このコミュニティの仲間を広めていきたいと思います。
- 私たちの学区での日本語プログラムは、十年以上にわたり、安定した生徒数を確保し、定着してきました。しかし、昨今、教育現場の変化に伴いプログラム自体への風当たりが強くなっています。プログラムの縮小、教員削減の可能性などの通告も受けました。こうした現状の中で、職場だけに閉じこもっていると、閉塞感のスパイラルに陥ってしまいます。J-CAN を通し、教室での｢教え方｣も大いに学んでいます。けれど、それだけにとどまらず外と繋がっていくことの大切さを知り、後押ししてもらっていると実感しています。
国際化の進む２１世紀社会において外国語教育は非常に大切なものです。STEM教育(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)への支援が大きくなる中で、下のACTFLの見解表明文にあるようにコンピューター教育そして外国語教育もどちらも重要であるというようなことを広く一般に理解してもらうことが大切かもしれません。J-CANプロジェクトにおいて、今後更にアドボカシーに焦点を当てた活動の広がりが期待されます。
ネットワーク
J-CANプロジェクトに参加している日本語教師がネットワークを広げるという目標については、下の２０１７年３月の個人の内省からの引用をご覧ください。参加者の多くがJ-CANプロジェクトのネットワーク作りを非常に肯定的に捉えています。１から９まではJ-CANプロジェクトを通しての繋がりに感謝し、刺激を受け、励みになっているというものです。内省９の後半から１２までは仲間とのプロジェクトとその協働作業に言及するものです。
ネットワークを広げ、繋がることにより、J-CANプロジェクト参加者はお互いから刺激を受け、共に教師として成長できるコミュニティーの形成が進んでいると言えるでしょう。この繋がりがアーティキュレーションの協働作業やアドボカシー活動を円滑に行うための基盤になっていることは間違いありません。
- 自分の教師会の先生と繋がりを深めたうえ、他の教師会の先生方とお会いできたのもよかったと思います。自身の教師会活動の大事さを味わい、今後もできるだけメンバーとして頑張りたいと思います。
- 昨年夏のワークショップに参加することができて非常に有意義に学ぶことができました。自分が所属している地域教師会内でのアーティキュレーションの発展に繋がったということもありますが、何よりも他の地域の教師会の先生方との出会い、そして現在にまで続くアーティキュレーション活動の取り組みの関係作りが生まれました。このワークショップがきっかけとなり、単に知り合ったというよりも、アーティキュレーションを意識しながら教師間の繋がりを日頃の自分の仕事に活かせるような知識やアイデアを得ることにもなっています。
- J-CANワークショップに参加して一番の収穫は、ほかの教師会の先生方と出会えて、いろいろと気軽に話ができるようになったことです。今まで、私はフロリダ教師会のメンバーしか知らなかったので、世界が広がりました。また他の教師会の皆さんが頑張っている姿を見て、自分も頑張らなければと思うようになりました。
- まず私にとってはJ GAPでの活動から参加させていただく機会に恵まれた事は本当にラッキーだったと思います。やはり中高レベルでは学校内に日本語教師が一名という状況が多く、授業をこなすだけで精一杯という毎日から、JGAPを通して他校の先生方はもちろん大学の先生方とまで交流ができるようになった事は革命的でした。さらにJCANでは地域を越えた先生方ともお知り合いになれ、教授法はなどはもちろん、様々な地域の問題まで、自分一人では到底考えもつかなかった事もJCANを通して学ばせていただきました。現在は今まで一番興味のあった日本語の文法を改めて学んでいくグループに入れてもらっていますが、少しでも貢献していけるように頑張りたいと思います。
- ワークショップ以来、縦の学校レベルの枠を超え、横の地域・教師会を超え、個人レベルで支え合う繋がりができたことは大きな励みとなっている。J-CANの仲間が増えていくことを期待している。
- 私たちの学区での日本語プログラムは、十年以上にわたり、安定した生徒数を確保し、定着してきました。しかし、昨今、教育現場の変化に伴いプログラム自体への風当たりが強くなっています。プログラムの縮小、教員削減の可能性などの通告も受けました。こうした現状の中で、職場だけに閉じこもっていると、閉塞感のスパイラルに陥ってしまいます。J-CAN を通し、教室での｢教え方｣も大いに学んでいます。けれど、それだけにとどまらず外と繋がっていくことの大切さを知り、後押ししてもらっていると実感しています。
- 参加された先生方とも気楽に話しが出来たおかげで、それぞれの先生方の指導技術の高さや日本語教育にかける情熱がひしひしと伝わり、「自分ももっと頑張らなければ！」と、とても良い刺激となりました。そのおかげで、私は３月の現在までパワー全開で仕事が出来たような気がします。
- 昨年の７月に行われたJ-CANのワークショップで、いろいろな地域の方々と出会い、お話を聞き、刺激を受けました。
- 7月から参加させていただいたので、まだ一年経っていませんがJ-CAN活動に参加させていただいたことにより、教師としてだけではなく個人としても非常に大きな変化がありました。以前の私は非常勤で時間外の仕事も多い割に立場上弱く、正直余計な仕事はしたくないという心情でした。けれどもJ-CANを通して他の地域の先生方と交流することで、「私にも何か貢献できることがあるかもしれない」という前向きな姿勢に変わりました。私は教師会の役員ではなく、教師会からのサポートが思ったよりいただけなかったので、教師会レベルでは特に何もできませんでしたが、個人レベルでは色々な取り組みを始めることができました。学会参加へのサポートもいただき、色々な先生方の取り組みを聞くことができて、さらに教師として挑戦してみたいことや、目標がどんどん膨らみました。まさにJ-CAN活動は私にとって、empowermentの活動でした。先生方のご厚意により地域教師会を超えてMAATJのアーティキュレーションプロジェクトに参加させていただいたことからも、自分の大学だけからは得られないよい刺激を受け、色々と学ばせていただきました。今後も個人で活動を続けて、まだまだ先になりそうですが最終的には地域教師会に還元できるような活動に繋げられたらと考えています。
- AFTJそしてJ-CANプロジェクトの一員として協働作業で行うプロジェクトは、責任もあり、難しくもあり、時間的にも作業やプロジェクト遂行面でも大変でもありますが、仲間と一緒にやっている分、一人ではないという安心や、悩みや目標の共有し、ともに目標に向かっていくやりがいを感じています。
- J-CANのワークショップを通じて、様々な地域の先生方と知り合え、その後、学会で顔を合わせたり連絡をとりあったりできるようになったのは素晴らしいと思う。グループ活動から派生したプロジェクトを地元の先生と続けたり、FLAVAで結成されたグループの進行・発展の後押し役をしたりすることで、J-CANの活動への参加が自発的なものに変わっていったと感じる。それは、やはり協働の楽しさが分かり、面白くなったからだと思う。また、J-CANのプロジェクトを通じて、内省の機会が増え、自分自信の授業内容へ反映できたことも多い。ただ講義を聞くのと違って、プロジェクトは自分が考え作り出していくものなので、その分、理解も深まり、責任を持って実戦していかねばという気になるからだと思う。
- 去年からグループに参加させて頂きましたが、1年を振り返って一番良かったことは他の地域の先生方と同じ「コミュニティ」の仲間として協働活動ができたことだと思います。その結果ＳＥＡＴＪなどの学会でお会いしても日本語教育を盛り上げていこうとするコミュニティの仲間という意識が生まれて本当に嬉しく思いました。それぞれの地域で私たちは忙しい毎日を送っていますが（それぞれの職場での雑務や現実）、その孤島から陸へのつながりが実現し自分たちが取り組んでいくことに関して他の地域の仲間の先生方に知ってもらったり、助言頂いたり、またコミュニティ（日本語教育）全体の視点でいっしょにプロジェクトに取り組んだりできたのは本当に素晴らしいことだと実感しました。うちの地域は日本語教育に対するサポートも少なく、先生たちのprofessional developmentの機会も少ないのですが、去年のワークショップに刺激を受け、この春、4月15日にメンフィス大学で當作靖彦先生のＳＮＡと評価の講義およびワークショップを計画しました。地元の若い日本語教師になりたての卒業生に加えてナッシュビルやニューオリンズからも先生方がたくさん参加してくださるということで、この地域でのアーティキュレーションが深まる機会になると良いなと思っています。また今までやってきたフードイベントなどのアウトリーチ活動を中心に今後も日本語教育法のワークショップなどを引き続き計画し、今回学んだことを地元の若い世代にも伝え、このコミュニティの仲間を広めていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。
ネットワークを広げ、繋がることにより、J-CANプロジェクト参加者はお互いから刺激を受け、共に教師として成長できるコミュニティーの形成が進んでいると言えるでしょう。この繋がりがアーティキュレーションの協働作業やアドボカシー活動を円滑に行うための基盤になっていることは間違いありません。
振り返りのまとめ
地域の教師会J-CANプロジェクトは、全米日本語教育学会(AATJ)と国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター(JFLA)の承認を受け、これまでにウェビナーとワークショップを開催、定期的にフォローアップミーティングを持ちながら、全米外国語教育協会(ACTFL)学会参加発表、米国南東部日本語教師会(SEATJ)学会参加発表を行ってきました。特に各教師会によるSEATJでの発表はこれまでの取り組みを反映する充実した内容で、聴衆にアーティキュレーション活動のモデルを示すことができました。
参加している４つの地域教師会内はもとより、J-CANプロジェクトに参加している４地域全体においてコミュニティーの結束が強まり、アーティキュレーションを進めながら、コアプラクティスを取り入れたプロジェクトも進んでいます。また、アドボカシーの重要性が高まっている中、今後その分野における更なる活動も期待されます。
参加している４つの地域教師会内はもとより、J-CANプロジェクトに参加している４地域全体においてコミュニティーの結束が強まり、アーティキュレーションを進めながら、コアプラクティスを取り入れたプロジェクトも進んでいます。また、アドボカシーの重要性が高まっている中、今後その分野における更なる活動も期待されます。
地域の教師会J-CANプロジェクト
